AJAJ講話会 山口京一さん その1

開催日:2012年6月11日
場 所:デューン・レンタル・スペース

AJAJ講話会と題してAJAJメンバーの大先輩方から黎明期のモータージャーナリズム、自動車業界の様子をお話ししてもらう、一種の勉強会を立ち上げた。今回はこれを企画した者としての立場から、勉強会レポートをさせていただく。

元々の趣旨は会員総数100名を超える大所帯となったAJAJにおいて、メンバー間の世代間格差が広がり、同時にメンバー間の親交も希薄になっていると感じていたので、こうした機会を捉えて若手メンバーと先輩メンバー間の交流を促進しようという狙いもあった。しかしそれ以上に、黎明期のモータージャーナリズムで活躍した先輩諸氏のお話を聞けるチャンスはそうそうあるものではない。こうした機会を設けて次世代に歴史を伝えていく使命が我々にはあると感じていたので、こういう催しを開くことにしたのである。

山口京一さん
山口京一さん

山口さん講話会風景第1回の講師としてお願いしたのは、山口京一さんである。英語を駆使して世界中のエンジニアや広報と話を交わす姿を見ていて、個人的には真の意味で世界に羽ばたいた日本のモータージャーナリストは、山口さんしかいないと感じていた。お話はモータージャーナリストとなる以前の山口さんの業界へのかかわりから始まり、取材を通じて得られた貴重なエピソードやジャーナリストとしての在り方など多岐に渡った。初代ミニのサスペンション設計者、アレックス・モールトンとの親交の深さ、メルセデスでの300SLR試乗など、こうした点にだけに的を絞って話して頂いても、それだけで2時間程度はすぐに過ぎ去ってしまう濃い内容を、すべて含んで2時間で終わらせてしまったのは非常にもったいないと思った。座学の重要性、足で現場を見るといった耳の痛い話も多々あったが、やはり実際にお話を聞いてこれを1回で終わらせる手はないと感じたので、何とか次回の開催に向けて先輩方にお願いをしようと思っている。

基本的に、昔の貴重なお話を聞くというひとつの目的は達せられたと思うのだが、もうひとつの目的だった世代間の交流を促進するという狙いが果たされたかというと、それは疑問である。問題はこの種の話を貴重だと思うか思わないかという点に、やはり意識の差があるからだと思うのだが、誤解を恐れずに正直な感想を述べれば、日本のモータージャーナリズムと自動車産業が文化として育たない原因の一端が、自動車メーカーも含め歴史を大切にしてこなかった風土にある気がしてならないのである。

■参加者(敬称略、五十音順)
石川真禧照、加瀬幸長、川上完、日下部保雄、国沢光宏、菰田潔、鈴木健一、鈴木直也、鈴木誠男、高根英幸、高山正寛、滝口博雄、立花啓毅、津々見友彦、徳大寺有恒、中村孝仁、西村直人、伏木悦郎、堀越保、松下宏、丸茂亜紀子、山崎公義、山崎元裕、吉田由美