AJAJ会員向けブリヂストンポテンザS007A新商品試乗会

開催日:2018年7月1日(日)
開催場所:ブリヂストン・プルービンググラウンド(栃木県那須塩原市)

ブリヂストンによる新製品の試乗会がAJAJ会員向けに開催されましたので、ご報告します。

開催場所は同社が所有する那須塩原の栃木プルービンググラウンド。土曜日という通常であればお休みにも関わらず、我々のために休日出勤にて対応していただき、感謝いたします。

ブリヂストン ポテンザS007A 展示

 

■ブリヂストンが考える7つの基本性能

当日は座学としてブリヂストンが考えるタイヤの性能について。そして、新製品であるポテンザS007Aの説明があり、その後、テストコース及び一般道での試乗となりました。

ブリヂストン ポテンザ S007A 展示

ブリヂストン ポテンザ S007A アップタイヤには大きく4つの基本機能があります。ひとつは荷重を支える、そして駆動力と制動力を伝える、次に路面からの衝撃を和らげる、最後は方向転換を維持するというものです。普段タイヤが摩耗した、あるいはパンクしたということがなければ一般の方にはあまり意識されるパーツではありませんが、どんなに高性能なクルマであってもタイヤがなければその力を路面に伝えることはできないという、非常に重要なパーツです。

このように大きな役割を果たすタイヤであっても、そのタイヤに与えられた面積ははがき一枚分。そして、一般的なサイズで、時速60kmで走行した場合にはだいたい1秒間に8回転ぐらいする計算になります。そのほんの一瞬地面に触れたときに、路面に合わせていろいろ変形をしながらその力を路面に伝えていくという、非常に技術の詰まった商品なのです。

ブリヂストン ポテンザ S007A アップこのタイヤの機能を果たすための性能について、ブリヂストンタイヤジャパン消費財マーケティング本部消費財商品企画部長の雀部俊彦さんは、「我々の考えは、安全を守りながら性能を発揮するためには、直進安定性、ドライ性能、ウェット性能、低燃費、ライフ、静粛性、乗り心地という7つが基本性能と考えています。そしてこの7つの性能を高い次元でバランスさせた、いわば総合力がタイヤには必要だと考えているのです」と説明してくださいました

 

■39年進化し続けるポテンザブランド

さて、ポテンザというブランドは先に述べた7つの基本性能を押さえつつも、スポーツ性能をより特化させたブランドとして位置づけられています。

1970年代の終わりに世界中で高性能なスポーツカーが出てくる中で、本格的な走りを追求するお客様の要望に応えるために生まれた、ブリヂストン初の本格的スポーツラジアルタイヤのブランドがポテンザです。因みにこのポテンザという名前は、力強さや可能性といった意味を持つイタリア語からつけられたものだとのこと。そして、1979年に初代RE47を上梓した後、様々なレース活動で培った技術を盛り込みながら39年間進化し続けてきたブランドなのです。

ブリヂストン ポテンザシリーズ 年表

 

■ウェット性能は維持しながらさらにドライ性能の向上を目指す

ブリヂストン ポテンザ S007A ウェット走行シーンポテンザブランドの中でもいくつかの商品群があります。ひとつはより本格的なスポーツ走行、サーキットでの走行などを楽しまれるお客様向けの“リアルスポーツ領域”、それからスポーツ性能だけではなく、コンフォートな性能をお求めになるお客様向けの“プレミアムスポーツ領域”、そして普通のタイヤではちょっと物足りないというお客様に、カジュアルにスポーツ性能を楽しんでもらえるような商品群と大きく3つのカテゴリーとなっています。

今回上梓されたS007Aはプレミアムスポーツ領域に属するタイヤで、S001の後継に位置付けられます。ブリヂストンの調査結果によると、プレミアムスポーツタイヤを装備するクルマの中でのタイヤに対する満足度の全体平均と、そこからS001のみを抜き出した結果を比較すると、S001は高い評価をお客様から得られているのだそうです。

その高い評価をベースにしながら新製品の開発に着手。背景には、「日々クルマは進化をして性能が上がってきています。特にここ数年はプレミアム領域のハイパフォーマンスカーの運動性能の向上が非常に高いということと、そういった高い性能を支えるためにブレーキ、タイヤとも大径化していますので、タイヤサイズの見直しも必要だと考えた次第です」と雀部さんは説明。つまりS001をさらに進化させ、大径化を見据えたプレミアムスポーティタイヤがS007Aということなのです。

その商品特徴はすでに高い評価を得ているウェット性能を維持しながら、ドライ性能をさらに向上させていくということでした。サーキット走行を想定したテストでラップタイムを2.4秒短縮することに成功。サイズについてはこのカテゴリーのクルマのタイヤサイズが大きくなっていることに対応して、大径インチを中心に合計80サイズでの販売となりました。

ブリヂストン ポテンザ S007A ドライ走行シーンこのS007ですが、実はOEタイヤとしてポルシェやフェラーリといったスポーツカーメーカーの正式承認を得ているタイヤです。そこからリプレイス向けタイヤとして改めて発売されたのがS007Aなのです。

 

■きびきびと反応して高い運動性能を楽しんでもらえることへのこだわり

ブリヂストンPSタイヤ開発第一部構造設計第3ユニット課長の永井秀さんによると、ポテンザに対してお客様が期待する性能は、「まず何よりもドライ性能が重視されていることが明らかでした。環境性能やコンフォート性能も期待されているカジュアルスポーツタイヤとはまさしく一線を画しており、ポテンザの特にプレミアムスポーツに対するドライ性能への高い期待が伺えます」といいます。

その一方で、「例えばサーキットに行って限界走行を楽しまれるという機会はあまり多くないのではないかとも考えています。多くのお客様は、一般道でハイパフォーマンスカーに乗って、その性能を受け止めて十分に発揮できるタイヤを求めているのではないかと考えました」。そこでS007Aでは、「一般道を走行していても実感してもらえるような運動性能の高さ。例えば普通のレーンチェンジやワインディングにおける緩やかなコーナリングといった状況であっても、きびきびと反応して高い運動性能を楽しんでもらえるところにこだわったのです」とのことです。

S007AはクラウンアスリートやメルセデスのEクラスあたりに多く装着されるのではないかというのはブリヂストン広報部長の浅野英伸さんです。特にクラウンアスリートユーザーからはS001の評価も高く、クラウンではあってもよりスポーティなクルマに乗っているというユーザー心理がレグノではなくポテンザを選んでいるという話も印象的でした。

そういったことは実際にテストコースや一般道での市場でも実感できました。特に今回はS001との乗り比べができたことで、その乗り味の変化がより明確になったのです。このように乗り比べができるのはタイヤの比較にとって非常にありがたいことです。

なお、開発の中心になったのは245/40 18インチ。BMW3シリーズをベンチマークとしているとのことでした。

 

■ドライビングの楽しさを大事にしたい

今回テストコース脇に黄色い初代ユーノスロードスターが置かれていました。テストドライバーの教育用に使おうということで簡単なレストアを施されたクルマです。そもそも販売員のアライメント調整や勉強用に研修所に保管していたクルマでしたが、単にスピードが出るクルマではなく、コントロール性などを大事にしているクルマなので、教育用にちょうどいいとなったとのこと。

初代ユーノスロードスター因みに過去東京オートサロンに出品されたこともあるこのクルマの足回りは、次期型となるNB用に変更されているのだとか。もちろんマツダが初代ロードスターのレストアサービスを始めたので、タイヤもそれ用に復刻させた、SF325が装着されており、このクルマはその開発にも関与したそうです。

すべてのプログラムが終了後にQAタイムが設けられ、現在ブリヂストンで使われているアルティメット・アイのシミュレーション例から、摩耗性、ターゲットとなるタイヤサイズまで様々な質問が会員から投げかけられ、時間いっぱいまで開発陣とのやり取りが繰り広げられました。

幸いにも雷に襲われることもなく無事にスケジュールは終了。メーカーのテストコースを走る機会はめったにありませんし、その場で感じたこと、疑問等をすぐに開発陣にぶつけ、その解決につなげられるという貴重な場にもなり、とても良い経験につながりました。

■■参加者(敬称略、順不同)
菰田潔/藤島知子/森川オサム/近田茂/諸星陽一/工藤貴宏/斉藤聡/会田肇/石川茂幸/斉藤慎輔/津々見友彦/内田俊一