午前中の体験試乗&燃費競争を終えた我々参加者は、全員ハローウッズへと移動した。ひとまずここで昼食である。
巨大なタープで日除けを作りテーブルを並べた会場で、地元もてぎで採れた野菜や川魚を使ったランチビッュフェ。中でも一番印象的だったのは、よく冷やした胡瓜とトマトの、新鮮な野菜だけがもつ本来の味わいだった。
地の物をいただいてもてぎの良さを教えられた後は、もてぎの自然を体感する時間。午後からはクルマと一時離れて、このハローウッズでもてぎとホンダのもう一つの面を教えてもらうのだ。ここでは筆者が体験した順にご紹介させていただく。
まずは森の空中回廊「クラーネ」。これは広大なもてぎの敷地を一望できる展望台の「樹冠タワー」と、そこから一気に滑り降りるジップラインの「樹間トレイル」を主とした、山の地形を利用した大自然体感施設。
運動不足を痛感するにちょうどいい山登りの後、山頂にて木々の先端(これを樹冠というらしい)の状態と共に360度絶景のパノラマビューを楽しむ。そこで聴いたハローウッズのプロデューサー、崎野氏の話は非常に新鮮で分かりやすかった。もてぎと言えばサーキット施設しか思い浮かばない我々にとって、このハローウッズは環境問題をリアルに感じさせる、もう一つのホンダの挑戦という印象で、とても感慨深かった。
樹間トレイルはワイヤーに滑車を取り付けたシンプルな乗り物(?)で、ハーネスでぶら下がり落差を利用して133mの距離を一気に滑り降りる。眼下に山々や田園を眺めながら山の頂上付近から滑り降りると、これまでにない感覚が身体を包む。動力を使わない原始的な乗り物の楽しさ、宙ぶらりんで風を切って疾走する開放感は、とても刺激的で面白かった。
ハローウッズに戻って来た我々が次に体験したのは、ホンダが販売する数々の汎用機であった。カセットボンベを燃料とする小型の耕うん機「ピアンタ」は、車軸型と言う1軸二輪型の小型機で、コツさえ掴んでしまえばなかなか軽快で、思うままに掘り込んで耕すこともできて面白い。リヤにタイヤをもつ自立型の「サ・ラ・ダ」は、掘り進むには力が要らないものの、方向を変えたりするにはむしろ重さを感じる。人によって好みが分かれるのも面白いと思った。
広場に目を移せば、芝刈り機や薪割り機など、まだまだ様々な汎用機が並ぶ。乗用芝刈り機はカートの下に大きなファンが付いているような、思わず運転してみたくなるデザインの乗り物。筆者は芝刈り性能の高さなど評価する感覚は持ち得ていないが、広大な庭を持つことなど夢また夢であるから、これほどの乗用汎用機を運転する機会はこうした試乗以外はまず有り得ない。貴重な経験であった。
会場内にはホンダ製の発電機もあったが、むしろ話題となったのはその電力によって稼働していたスポットクーラー。レースや走行テストに携わる者にとって、近年の猛暑ぶりは如何ともしがたく、これからの季節頼りになる冷却機器は意外な人気者だったのである。
いずれお世話になるであろう電動カートの「モンパル」は、高齢者のお買い物用(失礼)とは思えないほど、サスペンションや駆動系がしっかりとしており、2台が揃ってしまうと自然と競り合いになってしまう我々の習性を露見させるほど、楽しい乗り物であった。