『ITS』とは「最先端の情報通信技術を用いて、人と道路と車両とを情報でネットワークすることにより、交通事故、渋滞などといった道路交通問題の解決を目的に構築する新しい交通システム」のこと。
そして『スマートウェイ』とは「交通安全、渋滞対策、環境対策などを目的とし、人と車と道路とを情報で結ぶITS技術を活用した次世代の道路」のこと。
このスマートウェイを構築していくために産学官が一体となり、数年前から次世代路車協調システムの研究開発・実証実験などが行われています。今回の勉強会では実際バスで首都高速道路を走行し、ITS&スマートウェイを体験させていただきました。
内容は、広範囲のデータを受信し、カーナビが賢くルート選択する「ダイナミックルートガイダンス」、トンネルの先の情報や事故多発地域のお知らせ、天気情報など、ドライブ中のヒヤリハットをなくす事前の注意喚起を促す「安全運転支援」といったところ。
実はこれまでのナビでも、ルートガイダンスや安全運転支援などはありましたが、従来のビーコンではカーナビに提供される区間ごとの所要時間データが最大約200kmだったのに対し、ITSスポットでは県境関係なく最大約1,000kmと広範囲に。これまで1枚し受信できなかった簡易図形も1箇所で最大4枚提供され、さらにその情報を蓄積し特定の地点で表示ができるようになったりと、より高度化しているのがポイント。携帯電話がムーバからフォーマへと移行したようなものだと考えると、わかりやすいかもしれません。
今後は高速、大容量といった特性を生かし、サービスエリアなどでインターネットに接続し、地域観光情報へアクセスしたり、カーナビ地図の更新、駐車場等の決済・観光・物流などのサービスも展開される予定だそうです。
体験するのに必要なのは、ISO(国際標準化機構)やITU(国際電気通信連合)国際標準化された、高速で大容量の双方向通信を可能とする5.8GHz帯DSRC(Dedicated Short Range Communication・スポット通信)機器。ETCの大容量版といったものですが、今後はカーナビ・ETCを進化させて一体化し、オールインワンで多様なサービスを実現できる機器がメインになるとのこと。ITSジャパンでは5年間で1千万台の普及を見込んでいるそうですが、最初の3年間で500万台を普及させたいのだとかノ。しかし、現在はDSRC単体の機器でも約5万円なので、低価格化が鍵になりそうです。
通信の送り手側は、道路に設置された「ITSスポット」。2007~2008年に開催された公道実験、大規模実証実験に続き、2009年秋からは、民間各社から新しいカーナビの新製品等が販売されたのを受けて、首都高速道路、阪神高速道路及び名古屋高速道路で、道路交通情報提供や安全運転支援情報提供サービスが、すでに40カ所で開始されています。
そして2011年1月から3月までに、ITSスポットの全国サービスが始まることになったというのも今回のニュース。全国の高速道路本線上を中心として約1600ケ所にITSスポットが整備されることになっています。都市内高速道路では約4kmごと、都市間高速道路では約90ケ所のJCTの手前も含め10~15kmごと、東名高速、名神高速の全SAや道の駅などには約50ケ所に設置の予定。一般道でもビーコンの付け替えなどが検討されています。安全、環境、利便性などを考慮しても、個人的には早く導入したいのは山々ですが、全体的にはETCの普及と同じくらいは時間が必要かもしれませんね。
■参加者(敬称略、五十音順) |
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会田肇、有山勝利、飯田裕子、日下部保雄、工藤貴宏、鈴木直也、スーザン史子、高山正寛、田草川弘之、竹岡圭、津々見友彦、中村孝仁、西村直人、丸茂亜希子、丸山誠、桃田健史、吉田由美、ピーター・ライオン |