私たちは日常生活の中で、さまざまな感情を抱いています。すなわち喜怒哀楽は、人間であれば誰もが持つ、自然な感情表現ということになるのですが、この中で唯一、何かを失う可能性があるのが、怒りというものなのです、という興味深い話から、「アンガーマネジメント」に関しての、AJAJ勉強会は始まりました。インストラクターは、以前「母と子の楽ラク運転講習会」で、AED=自動体外式除細動器の講習を行っていただいた、米加田啓介医師。米加田医師は、日本アンガーマネジメント協会に所属され、日本ではまだ馴染みの薄いアンガーマネジメントを普及させるための、さまざまな活動を行われています。
アンガーマネジメントは、1970年代にアメリカで始まった、あくまでも怒りと上手に付き合うための心理教育であり、怒りという感情を完全に消し去るためのメソッドではありません。怒りというものは一般的に、高いところから低いところへ(強い者から弱い者へ)、そしてそれが連鎖するという特性を持ちます。怒りのコントロールは、自分自身からストレスなどを取り除くと同時に、この悪い連鎖をも断ち切ることにおいても重要なのです。
それでは実際に、どのようなメソッドで、怒りをコントロールしていけばいいのでしょうか。2時間ほどの講習の中では、さまざまなテクニックが紹介されましたが、その中でも個人的に特に興味深かったのは、スケールテクニック。つまりその時の怒りを、「人生最大の怒り」、「強い怒り」、「中程度の怒り」、「軽い怒り」、「穏やかな状態」というようにスケール化するとともに、時間の経過によってそれがどのように変化するのかを確認していくという方法でした。確かに冷静な思考で、怒りというものをスケール化してみることは、日常生活の中では非常に重要であることが分かります。実際に怒りという感情を表面に出さなければならない場面は意外に少ないものだなと、今回の勉強会に参加した会員は誰もが各々の生活の中で気づいたことでしょう。
アンガーマネジメントには、ほかにもさまざまなテクニックがあります。ストップシンキング=考えることを止める、グラウンディング=何かほかのことに思考を集中させる、等々はその代表的として、今回の勉強会でも紹介されたテクニックでした。すでにアメリカでは、交通違反者への処分としてアンガーマネジメント講習を課す州もあるとのこと。運転中のストレスや怒り、そしてそこから発生するトラブルなど、自動車に携わる我々にとっても、怒りのコントロールは、これからさらに重要な課題となってくるに違いありません。どれだけ安全装備が進化しても、それを運転するのは、怒りという感情を断ち切ることのできない人間であるのですから。
■参加者(敬称略、五十音順) |
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有山 勝利、石川 真禧照、今井 優杏、太田 哲也、岡崎 宏司、岡崎 五朗、岡島 裕二、岡本 幸一郎、桂 伸一、日下部 保雄、菰田 潔、佐藤久実、清水 草一、鈴木健一、高橋 健二、高山 正寛、滝口 博雄、田草川 弘之、竹岡 圭、立花 啓毅、近田 茂、津々見 友彦、中村 孝仁、福永頌、伏木 悦郎、松下 宏、松田 秀士、丸茂 亜希子、諸星 陽一、山崎 公義、山崎 元裕、ピーター ライオン |