ドイツに本拠地をおくdSPACE。その日本支社であるdSPACE ジャパンにて、自動車のハードウエアおよびソフトウエアソリューション、さらにはメカトロニック制御システムの開発についてA.J.A.J向けに勉強会を開催して頂いた。
日本以外にも、アメリカ/イギリス/フランス、さらには世界各国に販売代理店をもつdSPACEは、自動車産業、航空事業及びその他の産業用の電子制御機器などで使用されている、 演算プロセッサと専用電子インターフェイスを搭載した電子モジュールハードウエアや、高速メカトロニクス制御のプログラミング又はデザインのためのソフトウエア・ツールの輸入及び販売を手掛けている。
自動車の試乗レポートや開発にいたる技術者へのインタビューなどは、日頃から慣れ親しんでいるA.J.A.J会員だが、こと、それが開発現場の最前線となると、いったいどんなツールを使って業務に勤しんでいるのか、正確には知り得ていないところがあった。10年一昔という言葉があるが、自動車の開発現場では、未だに日進月歩であることに改めて驚いた。
考えてみれば、車両は3万点以上の部品で構成される工業製品であり、そのひとつひとつに最高の精度が求められている。さらに昨今では、グローバル社会での価格競争にも打ち勝ちつつ、企業としての収益を確保しなければならないため、巨額の開発費が必要な開発現場でのコストダウンと時間の短縮こそが成長企業としてのカギとなる。
dSPACEでは、そうした開発現場でエンジニアたちが使用するハードウエアの開発にはじまり、それを運用するためのソフトウエアの提供、さらには、そのソリューションの有効活用法をセミナーとして提供している。HVやEVの制御は複雑であることは知られているが、こうした車両の開発の裏ではdSPACE が手掛けているソリューションが存分に威力を発揮していることが鮮明となった。また、そうしたサポートがあるからこそ世の中にいち早く、そして適正な価格で新たな車両や技術が次々に送り出されているというカラクリも明らかになったといえる。さらに、車両そのものの開発だけにとどまらず、ESCをはじめとする車両挙動安定装置や、各国の排出ガス規制に対応するための排出ガス低減装置の開発にもdSPACEのシステムソリューションが活躍しているという。
新興国をはじめとして、自動車の開発スピードは増速するばかりだが、人の命を預けるメのりものモだけに事前の検証は非常に大切。さらに日本においても、国土交通省から「超小型モビリティ」の定義が発表されたが、安価な価格設定が普及の大きなポイントになることは明らかだ。そのためにもdSPACEで提供されているようなシステムソリューションの拡大採用を切に望みたい。
■参加者(敬称略、五十音順) |
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石川真禧照、太田哲也、加瀬幸長、菰田潔、鈴木健一、鈴木直也、高山正寛、滝口博雄、近田茂、津々見 友彦、西村直人、松下宏、松田秀士 |