コンティネンタル・オートモーティブ事業説明会

掲載日:2013年7月3日
場 所:神奈川県横浜市テクノウェイブビル100

コンティネンタル・オートモーティブ世界最大級のパーツサプライヤーで国内の自動車メーカーにも多くの製品を納入している「コンティネンタル・コーポレーション」。AJAJメンバー向けの同社のオートモーティブ部門を中心とした事業説明会が、国内の拠点となっている横浜市の本社で開催され、同時に併設されているエンジニアリングセンターの見学会も催されたのでレポートしていこう。

「Continental(コンティネンタル)」というブランドを聞くとタイヤを思い出す人がほとんどだろう。それもそのはずで、1871年の創業から135年間はタイヤメーカーとして、欧州車を始め多くの自動車メーカーにタイヤを供給し、また、リプレイスタイヤとしての販売も行ってきた経緯を持っているからだ。

コンティネンタル・コーポレーションとしてタイヤ以外の事業を拡大していったのは1998年からになる。まずブレーキ部門に統合される会社をM&Aで吸収し、その後シーメンスの電子部品部門を含め70社以上をM&Aによって合併。現在、コンティネンタル・コーポレーションは、大きく5つの部門に分かれていて、世界46カ国の291拠点では約17万人の従業員が働いていて、年間327億ユーロを売り上げる巨大な自動車パーツサプライヤーに進化している。

コーポレーションの柱となる5つの部門は、「シャシー&セーフティ」「パワートレイン」「インテリア」「タイヤ」「コンティテック」になる。

今回の事業説明会では、5つの部門の中のオートモーティブ事業に分類される「シャシー&セーフティ」「パワートレイン」「インテリア」を中心に説明が行われた。

コンティネンタル・オートモーティブ事業説明会まず、シャシー&セーフティだが、安全走行およびダイナミックスの分野の製品を開発、生産している。安全走行のパーツとは、電子式および油圧式ブレーキ、シャシー制御システムやセンサー、先進ドライバー・アシスタンス・システム、エアバック、電子制御エアサスペンションシステムなどの多岐に渡る。

これらの安全走行に必要な技術やノウハウを組み合わせて取り組んでいるのが、自動運転になる。コンティネンタルでは、2016年には部分的な自動運転が開始され、2020年には高度な自動運転化、2025年には自動運転の規制もでき、ドライバーなしでの運転が可能になるというロードマップを持っている。

2012年には、すでに量産化されている市販機能を使った自動運転を初めて成功させるなど、自動運転への取り組みは、かなり進んでいるという。

続いてインテリア部門だが、2007年にシーメンスの電子部品部門「VDO」を買収し、その後オートモーティブ部門の中核となる事業となっているという。

「Always On」という言葉が、インテリア部門の開発キーワードとなっていて、その意味としては、ドライバーと乗員がいつも意のままに必要なすべての情報を手に入れられ、ときとして外の世界と連動することを意図している。

コンティネンタル・オートモーティブ事業説明会マシンインターフェイスやインフォテイメントなどの拡充により、ドライバーがより運転に集中できる機能や外の世界とつなげて情報を共有することが挙げられる。具体的には、ヘッドアップディスプレイやメーター内のインフォメーションディスプレイなどが、すでに多くの車両に搭載されている。

また、パラメータを使ってドライバーにブレーキやドライブの運転の仕方を教えるモード設定なども考えられているそうだ。

3つ目のパワートレイン部門だが、部門内にも「エンジンシステム」「トランスミッション」「センサー&アクチュエータ」「フューエルサプライ」「ハイブリッド・エレクトリック・ビークル」という5つの事業に分かれている。

パワートレインは、燃費、環境性能、多様なモビリティ、ハンドリングの楽しさと求められる要素が多い部門で、それぞれ要求に対して、各事業部が相互に関連しながら新たな開発や生産を行っている。

コンティネンタルでは、これまでも自動車用として初採用されたパーツを開発してきていて、ハイブリッド用のリチウムイオンバッテリーやNOxセンサー、メカトロニック・トランスミッションコントローラーなどが、それになる。

また、パワートレイン部門の最優先項目は、製品の信頼性ということで、最先端のエンジン試験装置やローランテストベンチを世界の7拠点に設置。すべての電子部品の電気的、機械的な調和テストを行っていて、開発段階のすべての領域で、専門のチームが高性能な精度計測技術を用いて、エンジンを管理しているシステムが連携し作動するかなどの試験を実施している。

事業説明会の後には、テクノウェイブに隣接されたエンジニアリングセンターの見学も催された。

エンジニアリングセンターは、研究開発を行うR&Dという役目を持っていて、このR&Dでテストした結果は、世界中にR&Dセンターと共有しているそうだ。

4階建てのビル内では、ブレーキやメインECUのテストと開発などを始め、ブレーキキャリパーとローターをテスターに掛けて油圧の耐久性を検証するテストが、まさに行われていた。

このように、コンティネンタル・コーポレーションは、タイヤ供給で名が通ってきたが、現在では自動車生産にとって欠かせない、安全技術や計器類、パワートレインなどの多くの部品を開発、研究しているのだ。

■参加者(敬称略、五十音順)
石川真禧照、岡崎五朗、桂 伸一、鈴木健一、鈴木直也、田草川 弘之、立花 啓毅、竹岡圭、中村孝仁、堀越保、真鍋裕行、松田秀士、まるも亜希子、森川オサム、山崎 元裕、吉田由美