ジョンソンコントロールズ・オートモーティブジャパン 勉強会

開催日:2016年8月31日
場 所:ジョンソンコントロールズ・オートモーティブジャパン本社
ジョンソンコントロールズ・オートモーティブジャパン勉強会 シートモデル

日付:2016.08.31
場所:ジョンソンコントロールズ・オートモーティブジャパン本社
スピーカー:ジョンソンコントロールズ・オートモーティブジャパン社長の内田博之氏

 

ジョンソンコントロールズ・オートモーティブジャパン勉強会 風景世界最大のシートメーカー、ジョンソンコントロールズ・オートモーティブ(以下JCA)。2016年秋にジョンソンコントロールズから独立し、アディエントとしてスタートする。それを機に同社の概要、および未来のシートへの取り組みについての勉強会を開催した。なお、今回は出席状況から、一部メディアも参加する形となった。

■3台に1台はJCAのシート

ジョンソンコントロールはアメリカのウィスコンシン州ミルウォーキー市に本社があり、大きく3つの事業を行っている。ひとつはビルディングシステムズ。もうひとつはバッテリー、そしてシートのオートモーティブで、全体の売上の半分以上がこのオートモーティブが占めている。

ジョンソンコントロールズ・オートモーティブは世界で 7万 5000人の従業員を抱える非常に大きなメーカーで、収益は 239億ドル(約2兆4000億円)。全国に280拠点あり、シートは年間2200万台を生産されている。つまり、3台に1台はジョンソンコントロールズのシートを使っている計算になる。因みに日本では、日産子会社の池田物産を2000年に買収し、基盤が作られた。

■シート全てから表皮まで

さて、自動車メーカーから発注されるパターンは大きく5つに分かれるという。まずコンプリートシート、つまり、シート全部だ。
トリム事業は、カット&ソーと呼ばれる、切って縫うところから、生地そのものの販売も行われる。
そして、フォーム事業とよばれるシートの中のスポンジを受注するもので、同社は他メーカーと違い自社内でフォーム素材の配合も行っており、硬さやクッションの戻り方などを細かく変えることが出来るという強みがある。
メタル&メカニズム事業は、シートの骨組みを受注するもの。
最後はレカロ事業だ。日本では滋賀に工場があり、ここではパッセンジャーカーのOEMと、アフターマーケット品を作っている。

■クラフトマンシップが得意

JCAのシート開発における基本的な考え方は、「先進技術を投入することとともに、クラフトマンシップが得意だ」と内田社長。これは、「我々はシート表面や座り心地を非常に重視して開発をしている。その開発や評価を行うことが出来るマイスターと呼ばれる職人が各拠点におり、その職人がそのシートに座ることでどこが良くてどこがダメなのかがわかるようになっている」とし、「他メーカーと比較をしても優秀だといってくれる顧客が非常に多く、我々もそこを誇りにしている」という。ただし、「残念ながら最後の最後で値段の方が大切だとなることもある」と価格競争で負けてしまうこともあるようだ。「しかし、コンセプトはどの自動車メーカーからも歓迎されている」と評価としては高いことを強調した。

■未来のシートは安全性に注目

今回未来のシートについても多数語られた。そのうちのひとつが「シーティング・デモンストレーターSD15」だ。ここには新技術が多く盛り込まれており、例えば、レーザープリンターで繊細な模様をシート表皮に影などを上手につけると、普通のシートがあたかもスポーツシートに見えるようにすることが可能だ。

また、自動運転を見据え、4つのシートがそれぞれ別のボジションを取ることや、回転、対面などあらゆることが想定されることから、シートそのものを薄型にすることや、軽量化が必要となり、そういった開発に取り組んでいるという。

更に重要なことは安全性だと内田社長はいう。これまでは進行方向に向いて座っていたものが、あらゆる方向に向いてしまうので、その時の安全性確保が重要なのだ。現在センサーを開発しているということだが、衝突した際に最も安全な方向にシートが向くということも検討していると述べた。

cappict14.180ジョンソンコントロールズ・オートモーティブジャパン社長 内田博之氏最後に内田社長は、日本のクルマが更に良くなって売れてほしいと思いを語る。その理由は、
「我々はアメリカの会社なので、クルマが売れず、その地域の売り上げが下がると撤退してしまう可能性がある。従って我々は日本のサプライヤー以上に良いクルマを作ってほしいと思っており、これが我々の基本的な精神だ。日本のクルマがもっと良いクルマになってほしい。その為に良い部品を我々は供給するのだ」とコメントした。

今回はここに書ききれない、あるいはオフレコの話が多数飛び出し、また、質疑応答では活発な意見交換がなされ、とても有意義な内容になった。
関係者、および出席者の皆様には感謝いたます。

ジョンソンコントロールズ・オートモーティブジャパン勉強会 記念撮影
■参加者(敬称略、五十音順)
日下部 保雄 菰田 潔 高山 正寛 中村 孝仁 堀越 保 森川 オサム 内田 俊一