2017年4月15日(土)、16日(日)に開催したAJAJ主催「みんなの楽ラク運転講習会」の中で【U-18運転予備校】という新カリキュラムを立ち上げました。初回にもかかわらず予想以上の反響がありました。ここでそのご報告をします。
【U-18運転予備校】はクルマを運転できる体格(身長150cm以上)に達しているが、まだ運転免許を取得していない18歳以下の若者(中学・高校生・社会人)を対象に、実際のクルマで運転の体験をするカリキュラムです。
まずは1時間の講習をします。
生まれてからまだ一度も運転をしたことがない若者に運転をしてもらうために、ひとつひとつの操作を丁寧に説明します。
まずはドアの開閉の仕方からです。
ドアハンドルを持ったまま閉めると安全であるだけでなく、ドアの閉まる音もよくなります。
アクセルペダル、ブレーキペダル、エンジンスタートスイッチ、ATのセレクター、ハンドブレーキの操作の仕方はもちろん、正しいシートポジションの合わせるための5つのチェックポイント、弛みをなくす正しいシートベルトの装着方法、どちらにどれくらい切ったかわかりやすいハンドルの回し方も説明しました。
同伴が条件のために一緒に参加した親達も、この講習だけでも初心に戻って勉強になったという感想をいただきました。
実技に入ると我々がトレーニングカーとして選んだ「トヨタ86」と「マツダロードスター」という2ドアスポーツカーは、参加した若者たちが喜んだだけでなく、保護者の方々が羨ましがったのが印象的でした。
実際にクルマを動かすときにはAJAJの会員がインストラクターとして助手席に同乗します。このインストラクターは、助手席からのアドバイスの方法、いざというときには助手席からクルマを止められるように訓練を積んだAJAJ会員の有志です。
参加した子供たちがドライビングオポジションを決めて、正しくシートベルトをしてからブレーキペダルを踏みながらエンジンをかけます。そしてアクセルペダルの感覚をつかむために空ぶかしをしてみます。子供たちはアクセルペダルを踏むことでエンジンが高回転まで回って大きな排気音が出たことで驚くと同時に、これからクルマを動かすのだという実感が湧いたのか、顔に緊張感が漂いました。
止まったままハンドルを切る練習も行いました。3時と9時の位置を持ち、そこから切っていきますが、大きく切って持ち替えてもハンドルの同じ場所を持ちます。直進から3回のアクションでロックまで切れますが、そのことによってどちらにどれくらいハンドルを切っているのか把握できる方法なのです。
最初はクルマをゆっくり動かす「アリさんブレーキ」です。
Dレンジに入れてブレーキペダルから足を全部放すとクルマはクリープによって8km/hから10km/hくらいで走ります。一旦止まり、つぎはブレーキでスピードを抑えて、でもクルマが止まらないようにしながらゆっくり、ゆっくり走る「アリさんブレーキ」に挑戦です。これはベテランドライバーならできるというものでもなく実は結構難しいのですが、初めて運転する子供達はみな足首をうまく使って丁寧にブレーキペダルを操作し、ちゃんと「アリさんブレーキ」でゆっくり走ることができました。
これは次のステップでクルマを走らせた状態からスピードを緩めたり、停止したりするときにスムースにするための練習でもあります。
そして次はもう少し本格的に走らせます。
とはいってもスピードはせいぜい30km/hまでで、1周100m程度のオーバルコースを走るというものです。アクセルペダル、ブレーキペダルの操作と同時にハンドル操作も入ってきますから、今日初めて運転する子供たちには難しいことなのですが、意外やスイスイと走って行きます。
そして印象的だったのは、最初は緊張気味だった子供達も含めてみな笑顔で運転していることでした。さらに我が子が本物のクルマを運転する姿を見た親たちも喜んでいる様子でした。
体験後は座学会場であるテントに戻って、参加した子供たちが無免許運転をしないように、社会的、法律的な責任の話しをじっくりとしてから終わります。
2日間での参加者は12歳(中1)から17歳(高3)までの24名でした。今回は1日12名という限定だったのですが、それを上回る応募があったので、こちらで抽選をして選びました。
終了後にメールで参加した感想を求めましたが、嬉しいことにほとんどの親子から返事がきました。12歳の子供が早く18歳になって運転免許を取りたい,将来クルマは86を買う、ロードスターにもう一回乗りたいなど、こちらの想像以上に興奮した様子が伝わる感想でした。さらに親からも非常に良い企画だからまた子供を参加させたい、こんなイベントを開催するために何か協力するという内容もありました。子供といえるような若者たちがクルマに興味を持ち、運転に興味を持つようになったことは間違いないようです。
【U-18運転予備校】の第一の目的は「交通安全」です。
クルマを運転するドライバーの立場になると歩行者の危険な行動も理解できるようになり、歩き方も安全になると思われるからです。また実際のクルマを運転することで、クルマの楽しさや運転のおもしろさを味わい、クルマ好き、運転好きになって興味を持つことで交通安全の情報も頭に入ってくるようになることが期待できます。
さらにクルマや運転に興味を持ってもらうことで運転免許を取り、クルマを持ちたいを思う気持ちを育むことができれば、日本の基幹産業である自動車産業の発展にも寄与できるのではないかと考えております。
毎年のモータースポーツフェスティバルの会場を借りて開催するAJAJ主催「みんなの楽ラク運転講習会」の中で【U-18運転予備校】は今後も続けて行こうと考えております。
さらに年間を通して【U-18運転予備校】が開催できるようになればという構想も持っています。これからも多くの皆さんのご協力をいただければ実現できますので、お力をお貸しいただければ幸いです。
■参加者(順不同。敬称略) |
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西村直人/桂伸一/斎藤聡/近田茂/桃田健史/諸星陽一/菰田潔 |