著作権は、我々ジャーナリストにとって身近で切実な問題である。AJAJでは、法律が著作者と出版社が保証している権利を理解するために、これまでにも著作権勉強会を開催してきた。ここでは、4月16日に続き、2001年9月3日に機会振興会館において第2回AJAJ著作権勉強会の参加メモを紹介する。前回と同様に菰田 優 弁護士に講師を勤めてもらった。内容は、以下の通りであった。
●参考判例「アイドルインタビュー記事」事件の検討—-著作物・著作者の定義
著作物とは(インタービュー記事の著作物性)
思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。(cf. 著作権法第2条)
*つまり、単なるコメント、アイディア、時事の報道等は著作物とは言えない。
○インタビュー記事の著作者は誰か
口述者と執筆者の関係
1 共同著作
原作者と二次的著作物(記事)の著作者
単なる素材の提供者と著作者
*上記位置づけを左右するのは、インタビューされる者の関わり方によりけり。主体的な関わり方をすれば、当然、単なる素材の提供者とは成らない。仮に、ジャーナリストを例にとると、単なる口述に留まらず、「編集に参加する」「構成する」等して、「積極的に参加」すると著作者と解されるようだ。
例)ドキュメンタリーの場合 インタビュアー=著作者
講演聞き書きの場合 講演者=著作者
2 編集者、ライター(編集者を手伝う立場)と出版社の関係
法人その他使用者の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物で、その法人等が自己の著作名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規制その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
(cf. 著作権法第15条)
署名記事の場合 その記事自体の著作権は、ライターに有り。
雑誌全体の著作権は、雑誌社に有り。
著作者人格権(著作者が持つ人格的利益の保護)
i 氏名表示権
自分の著作物を公表する時に、著作者名を表示するかしないか、表示するとすれば実名か変名かを決定する権利。
ii 同一性保持権
著作物の性質並びにその利用目的及び態様に照らしてやむを得ないと認められる場合などのほか、自分の著作物の内容、題号を自分の意に反して無断で改変されない権利。
名誉回復等の措置
著作者の名誉・声望が毀損・低下している場合のみ訂正及び適当な措置を請求することができる。
●参考判例「著作物引用」事件の検討—-適法な引用の限界
目的
公正な慣行に合致するもので、なおかつ、報道・批評・研究その他引用の目的上正当な範囲内(公益性があるもの)である必要がある。
引用における注意事項
- i 他人の著作物を引用する必然性があること
- ii 「」をつけるなど、自分の著作物と引用部分とが区別されていること
- iii 自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること
(*自分の著作物が主体) - iv 出所の明示がなされていること
(*著作物の題号、著作者名、出版社名を明示しなくては成らない。違反行為には罰則が適用される。)
メモは以上である。我々の仕事上、著作権は身近な問題だけに今後も著作権勉強会は続けていきたいと思う。会員各位もぜひとも参加してほしい。