AJAJ名誉会員 山口京一さんの講話会

報告者: 鈴木直也
開催日: 2019年2月26日
開催場所: BMW GROUP TOKYO BAY
山口京一さん

2019年でAJAJは創立50周年。それにちなんだ事業がいくつか進行中だが、まずは第一弾として名誉会員である山口京一さんの講話会を実施した。

山口京一さんはわれわれの業界では知らぬ者なき有名人だが、念のためご存じない方のために説明すると、フリーランスモータージャーナリストとして、日本では草分けとなるお一人。

また、イギリスの「ザ・モーター」やアメリカの「ロード&トラック」など、英語圏の自動車雑誌にも健筆を振るわれ、さらにSAE(アメリカ自動車技術会)と「日本自動車技術会」をつなぐコレスポンデントとして長年活動されるなど、海外でも八面六臂の大活躍。1933年生まれだから御年88歳のはずなのだが、頭脳明晰身体壮健で信じられないほどお元気な大先輩である。

山口京一さん

そんな山口さんが「そろそろ、ぼくの経験を後輩に伝えたいと思って」というご意向をお持ちと聞き、「それならAJAJ創立50周年記念事業の一環として実施しましょう」ということで、今回の講話会が開催されることに相成った。

ただ、なんといっても自動車ジャーナリスト生活60年という超ベテランだけに、2時間程度の講演を1回や2回やったところで全部のネタを話し切れるものではない。

そこで、まずは2019年2月26日にBMWグループ東京ベイのホールをお借りして、山口京一講話会(その第1回目)が開催された。

この講話会はAJAJ主催の勉強会としては例外的に、メーカー、インポーターなどの関係者に加えて、一般の方の参加も募集した。告知のリードタイムは1ヶ月もないくらいで、ネットを中心にささやかに募集をかけたのだが、意外なほどの反響があって広いBMW東京ベイのホールは100名近い参加者で盛会となった。

今回の山口さんの「お題」は、場所を提供していただいたBMWにちなんだネタが中心で、328などの戦前型からノイエクラッセで戦後BMWの基礎を築くといった歴史的なストーリーだったが、やはり面白かったのは戦後まもなくの貿易統制時代から、ディーラーチームを仕立てて浅間火山レースに参戦するというくだり。

1959年当時山口さんが勤務されていたバルコムトレーディングは、BMWやBSAといった欧州製バイクの輸入代理店。バルコムチームはBMWに伊藤史朗(大藪春彦作、汚れた英雄のモデル)、BSAに高橋国光(弱冠18歳!)という布陣で浅間火山レースに臨むのだが、そのマネジメントを担当したのが他ならぬ山口先輩だったのだ。

日本のモータースポーツ史上に残る有名なエピソードを、当事者からリアルに聞く機会なんて、そう滅多にあるもんじゃない。

聴衆一同、大満足の2時間でございました。