KPMG勉強会「米国大統領選挙・欧州議会選挙等の影響を踏まえた 内燃機関および EV の将来について」

講師: KPMGコンサルティング 轟木 光 様
日時: 12月23日(月)14時〜15時
KPMG勉強会

2024年12月23日に、「AJAJ 会員限定オンライン勉強会:米国大統領選挙・欧州議会選挙等の影響を踏まえた内燃機関およびEVの将来について」がAJAJ岡崎五朗理事によりオンラインで開催されました。

主なトピックスは、選挙等の影響を踏まえたバッテリーEV(BEV)と内燃機関(ICE)の状況ついて、カーボンニュートラル燃料動向、ポストカーボンニュートラル時代における自動車の新しい競争軸でした。

選挙等の影響踏まえたバッテリーEV(BEV)と内燃機関(ICE)の状況ついて

アメリカ共和党のトランプ次期大統領はAgenda47で、CAFÉ規制廃止やバイデン政権とは異なるエネルギー政策を発表しています。パリ協定の離脱、電気自動車義務化を終わらせる、アメリカが地球上のどの工業国よりもエネルギーコストが低い国にするなどです。

各市場で主力パワートレインはハイブリット(HEV)を含めた内燃機関です。欧州議会選挙では、環境・左派が議席を減らし、右派が議席を増やしています。EU最大政党の欧州人民党(EPP)は2035年内燃機関廃止を撤回して、2025年CO2規制を見直すことを提案しています。また欧州自動車工業会に欧州自動車産業が結束して2025年の新しいCO2規制の見直しを要求しています。各市場で主力パワートレインはハイブリット(HEV)を含めた内燃機関であることが実情です。

ライフサイクルアセスメントでは、バッテリーEVでさえゼロエミッションになりません。カーボンニュートラル燃料を使用した内燃機関は、ライフサイクル全体でのCO2がバッテリーEVよりも低い可能性があり注目が高まっています。

カーボンニュートラル燃料動向

カーボンニュートラル燃料はバイオ燃料、合成燃料(e-Fuel)、再生可能メタン、水素、グリーンアンモニアなどです。例えば、バイオ燃料は原料が植物・動物油、バイオマス、廃食用油で、既存の化石燃料に混合使用可能で、ライフサイクルアセスメントの点で50から90%のCO2を削減することができます。

将来的にはガソリンのカーボンニュートラル化をめざして、化学燃料から合成燃料とバイオ燃料にするイメージが描かれているのだそうです。合成燃料の商用化までの間は、バイオ燃料の導入拡大を推進して、液体燃料のカーボンニュートラル化を実現させることが重要です。ドイツでは、合成燃料の普及を図るため、合成燃料専用車に限り自動車税を免税するように法規化されました(2030年1月1日から2039年12月31日に初めて登録された車両)。

ポストカーボンニュートラル時代

バッテリーEVは、内燃機関に比べて、商品力を含めた6つの課題(充電性能、安全性、電池コスト、リセールバリュー、保険、充電ビジネス)が存在し、解決が普及のために必要です。

またカーボンニュートラル時代の多角化した要望に応えるため、日本自動車産業にとって有利な時代となる可能性があります。 例えば、五感に訴える機能、カーボンニュートラル疲れ、自動車エネルギー源の多様化などが要望として考えられます。

バッテリーEVについての質疑応答

質疑応答はバッテリーEVについて主に交わされました。大衆車メーカーとラグジュアリーカーのバッテリーEVの影響の違い、環境やESG投資への投資家の反応、右肩上がりは儲かりそうと追いかけ本当のファクトを知る人をおかしいといっても封鎖する構図がミスリードを招いた構図、今後のバッテリーEVのシェアの行方などです。