ダイハツ中津工場見学会 その2

水資源の節約のほか、地球温暖化に配慮したCO2の排出量の軽減( 90年比で約17%削減)、燃焼廃棄物の削減(00年比で約41%、277トンの削減)、塗料の水性化などによるPRTR排出量の削減(98年比で約41%、176トンの削減)などが行われた(何れも03年度の実績)。クルマ単体から排出されるCO2の削減ばかりに目が行きがちだが、こうした取り組みも忘れてはならない部分のひとつだろう。

高速タンデムプレス
高速タンデムプレスといわれる、大型のプレス機。金型のセットから プレス終了まであっと言う間。

目を転じて、生産技術の観点から眺めてみた。強く感じたのは、各工程の素早さと正確さ、ラインのコンピュータ制御の比率の高さなどである。スタンピングショップと呼ばれる巨大なプレス機は、コマツ製作所と共同開発されたもので、高速タンデムプレスと呼ばれるタイプである。一工程の成型が終わるまではほぼ瞬間劇だったが、それ以上に驚いたのが金型の交換時間が非常に短いことだった。金型を外し、クレーンで運ばれる次の金型がセットされ、プレス加工が始まるまでに数分ほどしか掛かっていない。 AJAJの米村会長によれば、「昔は20分以上掛けて金型を変えたもんだ。驚くべき速さだよ」という。手作業による金型の交換を見たことがないのでその違いは分からないが、この一連の行程が尋常ではない速さであることは理解できた。

ボディライン
整然と製作機械が並ぶボディライン。ラインは無人化が進められている。

もう一つは、溶接の行程の速さである。こちらは、ロボット溶接化が進み、エリア内のスタッフはロボットの監視要員しか見あたらなかった。プレスされた部位が運ばれ、位置決めをし、アーク溶接を施した後にスポット溶接が行われる。その作業の全てをロボットが担当している。聞けば、まだ僅かに職人による手作業も行われているが、ハイゼットのトラックなどはロボット溶接が100%に達しているという。組み立てラインと検査ラインだけは人の手に頼る部分が多いが、それでも働いているのはロボットが主、という印象であった。

塗装ライン
塗装ラインは環境インパクトが大きな工程だが、ここ中津工場では排水も上水程度(細菌などを除き化学的に)までクリーン化されている。

生産工程の効率化を図るためには、設計段階でより綿密な配意を要する。一方で、製品のクォリティを高めるための研究も手を休められない。今回、最新鋭の中津工場を見学させて頂いて、ダイハツ工業とダイハツ車体の両軸がそれぞれのパートで最良の仕事をし、それがダイハツ車のクォリティに結びついているのだという認識を深めることになった。

ユーザーの立場に立ったスモールカー作りをさらに推し進め、より優れたモデルを世に送り出していって欲しいと思った。