元マツダで実験部長をされていて、新しく我々のAJAJ会員となられた立花啓毅氏を囲んで、我々の最も興味のあるクルマが誕生するまでの過程や、氏のクルマに対する情熱、モータージャーナリストに求めているものなど、興味深いお話しをうかがいました。
講演会には20人もの熱心な会員が参加し、初めて聞く開発現場に居ないと判らない興味深いお話や、氏のクルマ文化論、将来の日本車に対する憂慮やアメリカ車の危機感など楽しく勉強になる講演会でした。
[ 講演内容骨子 ]
先行技術開発には次の2つがある。
- 「技術研究所」が中心に行うもの(材料研究、燃料電池、エレクトロニクスなどの研究)
- 「開発本部」が行うもの(エンジンやシャーシのような個々の先行技術開発)併行して、将来どのような商品展開をするかの検討する。
- 「先行商品企画」部門がある。ここはモーターショウを含めて、商品のプランを立てる。上記3部門の活動を基に。
- 「個別商品開発」のレールが引かれ、それに添って個別のプログラムがスタートする。最近は開発期間が短くなって、商品化が決定してから2年以内に生産が可能である。また大半のクルマはプラットフォームを流用しているため、期間も短く、開発費もオールニューの3から4分の1で納まっている。
昔と違って試作車の台数も大幅に縮小できるのは、コンピューターのシュミレーション技術が上がったからだ。また、量産開始時期は絶対に変更出来ない。会社の経営にかかわることなので何がなんでもその時期に間に合わせるために、生産部門との調整に非常に苦労するとのことだ。
「立花氏のクルマ哲学」
日本車に喝!
持論のクルマ文化論は非常に興味がありました。
その骨子は、
日本車は十羽一絡げ、効率一辺倒から、文化的、個性的なものへと変らねばならない。
英国車にはそのような良さがある。
例えば、英国のベロセット(かっての名車と言われるバイク)などは“気”を放ち魅力がある。国産車もこのような“オーラ”が欲しい。と、言う話しは興味深い。
更に、評論家は“目利き”となる資質を持ち、メーカーに対して日本車の将来像を提案するぐらいの心構えが必要なのではと提案。これにはハッとしました。
立花氏が開発を主導した初期型ロードスターは車載工具だけでサスペンションのアライメントが変更でき、ユーザーがスポーツカーを楽しめるクルマにした。と、並々ならぬ氏のスポーツカーに対する情熱を感じました。