最近、空港や高速道路のサービスエリアに設置してあるAEDの取り扱い方法について講習をしていただいた。
AED(Automated External Defibrillator)とは自動体外式除細動器のことで、心臓に電気ショックを与えて「心室細動」を起こしている人を助ける装置である。
病院外での心臓突然死は年間3万5千人とも言われている。その心臓突然死のほとんどが「心室細動」であり、これを治す唯一の方法が電気ショックなのだ。しかしこの電気ショックは救急車で運ばれて病院で行ったのでは手遅れなのだ。心室細動が発生してから9分経つと、社会復帰できる可能性が10%に満たなくなる。1分なら90%、2分なら80%というように急速に低下していくからだ。
日本では2004年7月1日から一般人が使ってよいという許可が厚生労働省から出た。それにより人が多く集まるところにAEDを設置しておけば、心臓突然死の数を減らすことができるという期待があるからだ。
高速道路関連社会貢献協議会がサービスエリアにAEDの設置を進めて、2006年6月末に全国のSAで利用できるようになった。無料休憩所付近に設置してあるから、機会があったら確認しておくことをお奨めする。
しかしAEDが設置されていても使い方が判らなければ助けようがない。というわけで、多くの人に接したりアピールしたりする機会があるAJAJ会員に向けにとご提案いただき、米加田さんと看護士さん2人がボランティアで講習していただいた。
結果からお話しすると、AEDの取り扱いは非常に簡単だった。アメリカではTVで取り扱い方法を見た6歳の子供が、お父さんが倒れたのを見てたまたまあったAEDを見よう見まねで使って助けたという話があるくらいだ。
一般に出回っている機種は2種類。どちらも言葉でつぎはどうするかを指示してくれるので、3段階の操作を、その通りにやればよいだけだ。
電源を入れる。
ふたを開けると自動的に電源が入る。
(入れ物から出して電源スイッチを押す。)
電極シールを図に合わせて貼る。
接続してある2枚の電極シールを写真のように貼る。
(電極シールを貼ってからコネクターを接続する。)
AEDが自動的に心電図を解析する。
放電ボタンを押す。
電気ショックが必要な心電図とAEDが判断した場合のみ、電気ショックのためのエネルギーを自動的に充電する。
充電が完了後、音声案内に従い点滅している放電ボタンを押すだけ。
この説明は黄色のAEDの場合だが、右上写真の赤いAEDでも大きな差はない。
ボクも最初は、講師から何のアドバイスも受けずに操作したが、AEDに添付されているマニュアルを見ながら3分程度で実施することができた。それは音声による指示があるからだ。一度経験していると2回目からは説明書を読まなくてもできるので、もっと早くできそうだ。
消防庁で習ったことのある心肺蘇生法を今できるかと聞かれると心もとないが、このAEDは簡単なので忘れないし、あとからでもできる自信がある。
空港やサービスエリアなどの設置してあるところからAEDを取り出そうとすると、大きな音がするそうだ。緊急事態が発生したことを周囲に知らせるためである。このとき集まってきた人に救急車を呼ぶように頼めばいい。1分でも早く電気ショックを与えることが大事だからだ。
写真のダミーは胸をはだけているが、女性の場合だったら洋服の下から手を入れてこの場所に貼ることもできる。ただしワイヤーブラとかフロントホックの場合には電気が通って焼けどをする可能性があるので、外すかずらしたほうが良いそうだ。
充電している途中に「離れてください」というアナウンスが入る。これは実際に電気ショックを与えた瞬間は、TVドラマでやっているような患者が飛び上がるほどのショックがあるためだ。
助ける方なら良いが、AEDで助けられる側にはならないように、健康には注意したいと思った。