2008年5月26日、中日本高速道路株式会社(NEXCO中日本)のご協力のもと、第二東名高速道路勉強会が開催された。NEXCO中日本は、2005年に道路公団から民営化されており、1,700kmに及ぶ高速道路の保全サービス事業、サービス関連事業、建設事業という、首都圏の大動脈となる高速道路を管理する重要な役割を担っている。
一同はJR三島駅で2台のバスに乗り込み、御殿場ジャンクションへ向けて移動を開始。車中では、会社概要と第二東名高速道路の完成予定時期や開通予定区間について説明を受けた。今回の勉強会は、平成24年度に完成予定の区間内にあたる、御殿場JCT~伊佐布ICまでの区間を視察させていただくツアーとなった。
第二東名の建設は3つの管内に分けられているが、先ずは沼津工事事務所管内から見学を開始。御殿場JCTでは、模型をもとに建設予定区域や頑丈かつ軽量で工事費用も抑えられる施工法など、現代の建築技術についても詳しく説明していただいた。また、天井が高く、道幅も広い大規模トンネルとなる今里第一トンネルでは掘削中の現場を見学。解説はトンネルの構造や岩質の特性、それにまつわる施工法にまでおよんだ。
昼食は富士工事事務所に立ち寄り、改めて、横田本部長をはじめとする関係者のみなさまからご挨拶をしていただいた。ここでは、サービスエリアで人気を呼んでいるお弁当『速弁』に舌鼓を打ったが、ご担当者の話によれば、「名前は速いけどスローフード」だというジョークに、一同の顔つきもほころんでいた。地元の食材を使い有名料亭が作っているというだけに、四季折々の本格的な味わいを楽しませてくれる逸品といえるだろう。現在は18カ所のSAで21種類が発売されており、すでに9万食の販売実績をもつヒット商品だ。こうした商品ひとつをとってみても、サービス面における改革が、少しずつ結果を生んできているのだと実感させてくれる。
午後は80万トンもの土を盛って造られたという富士ICから、再び第二東名建設現場に入り、富士高架橋、富士川橋を見学した。富士川橋は暴れ川と呼ばれる富士川をまたぐために、日本最大のアーチスパンをもつ橋で、その機能美と東京ドームが収まるという大規模な景観に一同は驚かされた。日本第2位の長さの富士川トンネルを通過し、第二東名一の高さとなる83m橋脚をもつ芝側高架橋に立ち寄った。また、中部横断自動車道と交差する吉原JCTでは、模型と建設現場を照らし合わせながら雄大な景色を見学させていただいた。
現場の見学を終えたあとは、清水工事事務所にて民営化に関わる6会社と国との関わり合いや会社の収益について、また、第二東名の新基準となる道路の設計速度、6車線計画、環境への取り組み、現段階の協定や経緯についても説明していただいた。その後の質疑応答では、120km/hは実現しないのか、という質問や、東名高速路の渋滞対策について、料金設定やエネルギーコスト問題がどうなっていくのか、また、これからのサービスにはどのようなものが考えられているのかなど、終了時刻をオーバーするほど、終始熱い議論が交わされていた。
現在、高速道路建設に当たっては厳しい意見が取り沙汰されている。そのためか3車線道路が突然2車線になっているところがあったりと、世論の影響を目の当たりにする場面もあった。環境問題や安全性、大都市を繋ぐ大動脈が効率的に機能するために本当に必要なものは何か?という問題については、現代の自動車における方向性や交通事情の現実に直面している、我々自動車ジャーナリストができることは何か、考えさせられる勉強会となった。
勉強会終了後は、静岡駅周辺のホテルの宴会場にて立食形式の懇親会が開催された。くだけた雰囲気のなかで、それぞれの本音や意見を交わすよい機会となったようだ。