2009 AJAJ & Hondaミーティング 午後の部

もてぎの自然と共に原動機の便利さ、広がる可能性を教えられた後は、この日最後のメニューとなる1時間耐久カートレースである。これがメインイベントとばかりに自前のレーシングスーツ&ヘルメットを持ち込む人の多いこと。これを見るだけで大人げない戦いが繰り広げられるのは明白であった。

しかも午前中のインサイトによる燃費競争でスタート順が決められており、下位チームはスタート時間が数十秒は遅れるから、勝負としてはかなり厳しい。ただし15分と30分経過時に上位3位までのチームはくじ引きでハンデタイムが課すことで、勝敗の行方を複雑なものにしている。筆者が参加した日下部チームは4位スタートなので、30分経過時までは追いつきつつも順位をキープし、上位3チームのいくつかがピットストップで順位を落とすのを待ち、後半にかける作戦だった。

カートレース風景
1時間耐久カートレースは大人げないほど真剣そのもの。だからこそ楽しめた。

日下部→鈴木(直)→鈴木(健)30分経過時までは順調だった。徐々に上位チームとの間隔を詰め、ドライバー交代の合間に30分経過直後には一時2位にまで順位を上げることに成功したのだから。ところがスタート前から怪しかった雲行きが、ついに本格的に雨粒を落とし始めることでレースは波乱の展開に。我々も我々のチームも巻き込まれたのは言うまでもない。

雨天の場合はレインタイヤを使用して決行とあったが、それは最初からウエットレースだった場合で、レース中のタイヤ交換は不可能。後半徐々に路面を湿らしてきた雨はズルズルとタイヤを滑らしはじめ、各所でスピンを誘発させる。

そして筆者はカートに不慣れということで規定の50分~55分を含むゴールまでの10分間を担当。ホンダ広報の和田氏から「大分あちこちで滑りますよ」と情報をいただいて、ステアリングを替わる。ところが、走り始めてからさらに雨足は強まっていき、最後はついに土砂降りという始末。ブレーキングでは回りたがり、ターンインで曲がらないカートと格闘し、何とかコース上にとどまるようにしていたものの、痛恨のスピン&コースアウトをやらかしてしまった。

レース中はまったく気が抜けない状態で、ヘルメットを叩く雨粒さえも気にならず、チェッカーフラッグを受けてから始めて背中に入れたクッションがずぶ濡れになっているのに気が付いた始末。高校生の頃バイクで夕立に遭った時のことを思い出させるほど、全身びしょ濡れになってしまった。さてレースの結果だが、我々は4位とスタート順位でゴール。優勝はスタートも1位だった菰田チームであった。何と二度のくじ引きで二度ともハンデタイムを逃れたというのだから、何か奥の手を使ったに違いない。

カートレース表彰台
カートレース上位入賞チームの面々。1位は菰田チーム、2位は菊谷チーム、3位萩原チーム。

それにしても、こんなにも思う存分楽しんだのはいつ頃ぶりだったか、忘れてしまったほど充実した時間を過ごさせてもらった。

自然について、環境について、目の前で見て触れて教えられる諸問題は本当に身体に染みた。そしてクルマを使って遊ぶことの楽しさを再確認、いや堪能させていただいた。

おかげでしばらくはもてぎの伝道師となってしまいそうだ。その一環として夏休み中に二人の息子を連れて、再び訪れたいと思っている。

今度は筆者自身が楽しむのではなく、子供に同じ楽しさを味わせてやるために。