ダイハツ自動車工業は2007年に創業100周年を迎えた。この節目の年、ダイハツは軽自動車の生産量において首位に立っている。安全性の向上を目的に規格を改正した1998年以降、軽自動車は飛躍的に魅力を増した。ボディサイズを拡大したことによって衝突安全性能は登録車と遜色ないレベルにまで引き上げられ、メカニズムも凝ったものとなっている。新規格軽自動車が登場して10年、その間に軽自動車は長足の進歩を遂げた。優れたパッケージングと卓越したメカニズムを積極的に採用し、ファーストカーとして通用するまでに成長している。とくに進歩が著しいのはダイハツだ。が、自動車ジャーナリストといえども、安全性能を大きく左右するボディ構造や材料技術、量産化技術については疎い人が少なくない。
今回の勉強会では、日本が世界をリードしているボディ骨格の安全構造や高張力鋼鈑に代表される軽量で剛性の高い部材の使い方、衝撃吸収構造、軽量化のための技術など、日々進歩している安全技術と量産化技術について解説してくれた。最初はスライドを使っての講義である。ダイハツの専門エンジニアが、イラストを交えた教材を使って丁寧に分かりやすく説明してくれたため、十分に理解を深めることができた。講義の後は、隣の部屋に場所を移して個別に質疑応答の時間を設けている。カットモデルや解説用パネルのほか、助手席側をパノラマオープンドアにした最新のタントも展示された。実車を見ながらボディ構造などをチェックできたし、担当エンジニアの生の声を聞くことができたことも有意義である。
また、お台場周辺の公道での試乗会も催された。試乗車は今回の勉強会の素材となったタントだ。会員のなかには久しぶりに軽自動車に接した、と言う人もいた。最近の軽自動車の完成度の高さに驚くとともにタントの広さに驚嘆の声を漏らしている。軽自動車が規格改正してから10年が経った。タントは衝突安全性や軽量化において新規格軽自動車の第二世代と言えるクルマである。ステアリングを握ってみると、10年前の軽自動車とは走り出した瞬間から違うことを実感できた。上級のコンパクトカーと比べても、安心感やしっかり感において上のレベルにあると感じさせる部分も少なくない。講義だけでなく実車を走らせて、軽自動車が飛躍的に進化していることを感じ取れた、実のある勉強会だった。