2008年11月21日(金)に、小平市にあるブリヂストンの東京工場・技術センター西棟に於いて「第3回タイヤ勉強会」が開催された。第1回は2007年の10月18日(木)に東京工場で座学が開催され、第2回は2008年4月1日(火)~4月2日(水)の日程で栃木にあるブルーピンググラウンドで座学と試乗などの内容で勉強会が開催されている。第3回目となる今回は33名の会員が参加。天然ゴム・バイオに関する講義、CAE(Computer Aided Engineering)に関する講義、タイヤデザインに関する講義が開かれ、講義の後に電子顕微鏡、CAEに使われるスーパーコンピュータ、データを基にトレッドデザインを作り上げる課程の実演などを見学する機会も設けられた。
天然ゴムとバイオに関する講義は、ゴムの木の生態系や特性などの内容から、、タイヤに於ける天然ゴムの使用率の変化、あるいは合成ゴムとの差異など、ゴムの全般のお話を伺うことができた。CAEの講義は、タイヤの設計とコンピュータとの関連性、特にシミュレーションによるケースデザインの最適化など、先進技術の一端に触れていただいた。また、タイヤデザインの講義では、トレッドデザインとウエットグリップ、特に耐ハイドロプレーニング性に対する技術の変遷などを伺うことができた。
ご存じのように、タイヤはクルマの構成パーツの中で、最も機能に直結する重要なパートと言える。道路と接地している僅かな面積が、安全性や運動性に及ぼす影響は多大なもので、自動車メーカーがタイヤの性能に頼っているファクターは想像以上に大きい。常に安全性を意識しつつ、技術の改革に挑んできた結果がモータースポーツ、中でもF-1に供給するタイヤにも現れ、あるいは航空機の足もとを支えることにも繋がっている。ボーイングの777、最新鋭機として注目されているエアバスのA380がブリヂストン製のタイヤを使用していることは広く知られているが、実は民間機用(エアバスのA320)のタイヤにラジアル構造を採り入れたのもブリヂストンが最初だった。
用途によって技術を使い分け、要求性能を具現化していくことへの研究。小平の東京工場に併設されている技術センターでは、基礎技術の研究から生産技術までの多角的なアプローチが推進されており、その一端を垣間見ることができる貴重な機会となった。
ブリヂストンは、環境問題に対しても積極的な取り組みを見せている。ゴム園が吸収する二酸化炭素の量と統計的な数値からは、次世代を念頭に置いていることも伺い知れる。技術力の高さだけでなく、「最高の品質で社会に貢献」という社是を基にした企業理念が、エンドユーザーにも浸透してきている。今回の座学と視察は、仲介役とも言うべき我々にとっても非常に貴重な体験となった。
末筆ながら、勉強会に対してご尽力頂いた関係者に対し、深く感謝の意を表したい。