今ではドライブの必需品となったカーナビゲーションシステム(以下カーナビ)。大手AVメーカーとしてカーナビを手掛けるパイオニアで、基本から現在主流の機能、将来の方向性まで勉強する機会を得た。
まずカーナビの歴史だが、市販車に搭載されたのは1980年代のことだ。自動車メーカーが最初にリリースしたものは地磁気を利用したものやガスレートジャイロを使ったもので、現在主流のGPS(グローバル・ポジョニング・システム=全地球測位システム)を使ったものは1990年に入ってから登場した。パイオニアも世界初の市販GPSカーナビを1990年にリリース。当時の「道は星に聞く」というキャッチフレーズを覚えている人も多いだろう。ちなみに世界初の市販GPSカーナビの価格はなんと約80万円。取り付けには2日から3日ほどかかり、取り付け費用を合わせると100万円ほどする高価なシステムだったという。
その後、メディアはCDからDVD、HDDと移り変わり機能も進化していったが、本格的な市販HDDカーナビのリリース(2001年)もパイオニアは早かった。高温になりやすいダッシュボードへの取り付け対応するため、高温にも耐えられる車載用HDDを東芝と共同開発したという。2002年には現在につながる世界初の通信カーナビをリリースしている。
車載された当初は、それまでの紙による地図の代わりというものだったが、現在はITと密接な関係になり情報端末としての機能を持つようにもなった。その代表的な機能はパイオニアがいう「スマートループ」。通信を通じてユーザーの走行情報を収集して、その情報を元に独自の渋滞情報を生成して各ユーザーに配信するシステムだ。いわゆるフローカーと呼ばれるもので、エリアが限られているVICS(道路交通情報通信システム)による渋滞情報だけではなく、それ以外の地域でも渋滞情報を提供できる画期的なシステム。VICSによる渋滞情報の配信は約7万kmの道路に対して行われるが、スマートループなら生活道路を除く約70万kmの道路の渋滞情報を配信することが可能だという。
最近台頭してきたのがPND(ポータブル・ナビゲーション・ディバイス)などと呼ばれるメモリーナビ。安価なモデルが多いため急速に普及しているが、パイオニアは将来こうした安価なタイプは携帯電話のスマートフォンにとって代わられると考えているという。高機能カーナビはITS(高度交通システム)との連携で今まで以上にドライブに欠かせないものに進化していく。
■参加者(敬称略、五十音順) |
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会田肇、有山勝利、飯田裕子、石黒敏夫、岡島裕二、菰田潔、近藤暁史、島崎七生人、鈴木直也、高山正寛、滝口博雄、竹岡圭、津々見友彦、中村孝仁、西村直人、堀越保、松下宏、松田秀士、丸茂亜希子、丸山誠、山崎公義、吉田由美、米村太刀夫 |